「続」ベンチャー企業で英語を公用語にするメリットとデメリット

前回の記事では「英語を公用語にするメリットは大きい」と書いた。この記事を書いてから、半年強が経過した。この考え方は改めたので、新しく記事を書くことにした。

結論から言うと、「英語を公用語にするデメリット 大きい」だ。社内コミュニケーションを慎重にデザインしない限り、日本で英語を公用語にするのは危険だ。

僕の勤務先で起こったことは、大まかに言えばこんな感じだ。

  1. 社内で日本人と非日本人でグループが分かれる
  2. 非日本人が社内で浮いた存在になる (社内の雑談は日本語が多いため)
  3. 週次の全社アナウンスが日本語と英語を交互に話す形式になる
  4. 社内チャットツール (= Slack) で日本語と英語が混ざるようになる
  5. 非日本人がリモートワークがちになる

僕が考えられる改善案は次の通りだ。

  1. 会社の公用語を明示的に英語にする (採用のとき、公用語で十分にコミュニケーションできない人間は落とす)
  2. リモートワークを不許可にする (もしくは制約をつける)

順番に深掘りしていこう。

会社の公用語を 明示的に 英語にする案

僕の勤務先では、なんとなく 英語が公用語だった。単に「日本語が話せない社員が多いから、ミーティングは英語でやりましょう」的なノリであった。

中途採用では、英語が不得意な日本人を採用することもあった。「英語でコミュニケーションが取れること」は募集要項にはなかった。個人としては優秀なのに、コミュニケーションに難があるため全社貢献できない人もいた。ミーティングでは、英語に堪能な人間 (もしくは英語ネイティブ) がワーッと話して、それが「全体の意見」として通ることもあった。

会社の公用語が明示的に英語であったなら、と思う。

僕たちは採用候補者が日本人であれば日本語で面接をしていたし、そうでなければ英語で面接をしていた。会社の公用語が明示的に英語であれば、面接も英語で行うだろう。それならば、採用される側も「英語」という共通言語が使えることが保証される。社内が「話せる言語」で分断されることもない。

反対に、英語を切り捨てて日本語で社内コミュニケーションを統一してもいい。その場合は、多くの「普通の」日本企業がしているように、日本語で募集要項を書いて日本語で面接をするだけだ。

「日本語と英語が混じっている」のがよくない。

リモートワークを不許可にする (もしくは制約をつける) 案

リモートワークは難しい制度だと思う。

適当にリモートワークの運用をはじめると、「リモートワークをする社員」と「リモートワークをしない社員」でグループが分かれてしまう。オフィスに来る社員同士は密にコミュニケーションをとる。よく顔を合わせる間柄だから当然だ。でも、オフィス内で話した内容がリモートの人間には伝えられるとは限らない。そうして、リモートワークをする社員と、そうでない社員の間に情報格差がうまれる。

オフィスの様子を感じられなくなったリモートの社員は、さらにオフィスから足が遠のくようになる。そして分断が深まる。もしリモートワークをする社員と、そうでない社員の間に言語の壁も存在するとしたら…? 壊滅的だ。

この問題を防ぎたければ、単にリモートワークを禁止すればいい。全員がオフィスで働けば、情報格差はうまれない。

もしリモートワークをどうしても導入したいのであれば、「全員がリモートワーク」であれば、どうだろうか? コミュニケーションが全てオンラインで行われれば、情報格差もうまれないし、誰かが疎外感を持つこともない。

とにかく、適当にリモートワークの運用をはじめるのはよくない。Basecamp や GitHub がリモートワークで仕事ができているのは、それなりの仕組みや哲学があるからだ。

まとめ

前回の記事の「英語を公用語にするメリットは大きい」という主張には無理があると感じている。

日本企業が英語を公用語にするのであれば、相応の仕組みを導入するべきだ。少なくとも次のふたつは必須だ。

  1. 「英語が公用語だ」と社内外に表明する。採用面接は英語で行い、英語に難がある場合は他に秀でているものがあっても基本的に採用しない。
  2. リモートワークは慎重に導入する。もし「コミュニケーションに難がある社員」がリモートがちになるなら、それは危険なサインだ。

余談

実はここで書いた「僕の勤務先」は、既に退職した会社だ。

もちろん、辞めた勤務先に砂をかけようとして書いたわけではない。日本でも「英語で仕事をする」ことは普通になりつつある。僕が無駄に踏んだ「英語で仕事をする」ことに関するトラップを、他の人はうまく避けられるように、ここに失敗談 (と、その振り返り) を残しておく次第だ。

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